
住宅ローンの審査が通った金額をそのまま予算にしてしまう——その思い込みが、購入後の生活を長年にわたって圧迫することがある。
一般的に、住宅ローンはおおよそ年収の7〜8倍まで借り入れられるといわれている。年収1,000万円であれば7,000〜8,000万円の融資が可能となり、銀行によってはさらに多く借りられる場合もある。しかしその金額を満額借りることと、それを無理なく返し続けることはまったく意味が異なる。普段の生活で月々どれくらいの支出があるかを確認した上で、自分自身のライフスタイルも踏まえて予算を検討することが大切だ。
ローンの審査が通ることと、生活が成り立つことは、別の話である。
資金計画の基本は、まず3つの数字を把握することから始まる。物件購入金額・諸費用・月々の支払いの3つだ。多くの人は物件価格だけを「予算」として考えがちだが、実際にはそれ以外のコストが購入の可否を左右することも少なくない。
物件購入金額:物件そのものの金額、多くの人はこの金額を”予算”として捉えている
諸費用:物件価格の7-8%程、火災保険や登記費用、仲介手数料、ローン手数料などが含まれる
月々の支払い:ローン返済を中心に、マンションの場合は駐車場代、管理費、修繕積立金等が発生する
また、「頭金がなければ購入できない」という思い込みも手放してよい。住宅ローンにはフルローン(物件価格のみ)のほか、諸費用も含めて借り入れるオーバーローンという方法もある。頭金を入れずにローンを組むことで手元資金を温存できるというメリットがある。もちろん借入総額が増える点は十分に理解した上で判断したい。
POINT — 生活防衛費を確保してから計算する
金銭的な余裕がある場合を除いて、自己資金の多くを購入に充てるのは必ずしも得策ではない。急な出費・収入減・育児・介護など、人生には予測不能な支出が必ず訪れる。購入後も生活費の3〜6ヶ月分は手元に残しておくことを、予算設定の大前提とすべきだ。
「予算は多いほど選択肢が広がる」という考え方は、一見正しそうで実は危うい。本当に大切なのは、購入後も豊かに暮らし続けられるラインを自分で見極めること。その数字を持って物件を探し始めることが、後悔しない不動産購入への第一歩となる。
次回は、永遠のテーマである戸建てVSマンションについて掘り下げる。