答えはNOだ。売買契約を終え、ローンの審査も通過し金銭消費貸借契約(通称、金消契約)も完了した。あとは鍵をもらうだけ——そう思っていると、決済当日の慌ただしさに面食らうことがある。決済・引き渡しの日は、数千万円の資金が動き、複数の書類に署名し、所有権が正式に移転する、購入プロセスの中でも最も密度の高い一日だ。流れを事前に把握しておくことで、当日を落ち着いて迎えられる。
決済は通常、金融機関の一室で行われる。売主・買主・不動産会社の担当者・司法書士が一堂に会し、おおむね2〜3時間で手続きが完了する。同日中に鍵が引き渡されるのが一般的だ。当日の流れを時系列で整理しておこう。
残代金振込:残代金・諸費用の支払い
物件価格から手付金を差し引いた残代金と、登記費用・固定資産税の日割り精算分などを一括で支払う。事前に金額を確認し、当日までに資金を準備しておくこと。
書類確認:司法書士による書類確認・登記申請
司法書士が売主・買主双方の本人確認を行い、所有権移転登記に必要な書類を確認する。問題がなければ、その日のうちに法務局へ登記申請が行われる。
最終確認:物件の最終確認・付帯設備のチェック
契約時に取り決めた付帯設備(エアコン・照明など)が揃っているか、破損や汚損がないかを確認する。気になる点はこの場で売主に伝える最後のタイミングだ。
鍵の引渡し:鍵・書類一式の受け取り
すべての確認が完了すると、鍵・保証書・取扱説明書・マンションの場合は管理規約などが引き渡される。これをもって所有権が実質的に移転する。
決済当日は、確認する場であって慌てて済ませる場ではない。
当日に支払う費用は、残代金だけではない。登記費用・司法書士報酬・固定資産税の日割り精算・管理費の精算など、複数の支出が重なる。事前に不動産会社から「決済金額の内訳明細」を取り寄せ、総額を把握した上で資金を準備しておくことが不可欠だ。
費用項目内容目安残代金:物件価格 − 手付金物件による
登録免許税:所有権移転・抵当権設定の登記費用数十万円程度
司法書士報酬:登記手続きの代行費用5〜15万円程度
固定資産税精算:引き渡し日以降分を買主が日割り負担時期による
POINT — 登記完了は申請から1〜2週間後
決済当日に登記申請は行われるが、登記識別情報(権利証に相当する書類)が手元に届くのは法務局の処理が完了する1〜2週間後だ。この書類は再発行ができないため、届いたら大切に保管しておきたい。
鍵を受け取ることは、ゴールではなく新しいステージの入口だ。購入プロセスのすべてを経て手にした住まいを、長く大切に守っていくための準備が、ここから始まる。
最終回となる次回は、購入後にやるべき手続きと、長く住み続けるための管理の考え方を総まとめする。